線維筋痛症は、生活に悪影響を及ぼす、時間的・空間的に広範な慢性痛の特徴を持ちます。痛みは全身に出ることもあれば、身体の一部に限定されることもあります。
また、痛み以外にも「疲れ」「だるさ」「こわばった感じ」「不眠」「うつ」など多様な症状があります。これらの症状はお互いに影響し合い、慢性化しやすく社会生活に支障をきたすことがあります。
日本国内には推定200万人の罹病者がいるとされ、最近ではアメリカ人歌手レディ・ガガさんが線維筋痛症であることを公表して注目を集めました。
線維筋痛症の原因
線維筋痛症の原因は不明確な部分が多くあります。
現在最も広まっている説として、脳の痛み刺激を感じる機能に一部障害が起きているというものがあります。
ストレスなどの原因で痛み刺激の伝達機能に変化が生じると、痛みを感じやすくなったり、痛みを抑えることができなくなることがあります。
線維筋痛症の患者さんには、多くのトリガーポイントが存在し、常に痛み刺激を受けているため、病態が悪化しやすいと考えられます。
ストレスや外傷が発症のきっかけとなることが多いですが、何故特定の人で線維筋痛症になるのかはまだ分かっていません。現在でも世界中で様々に研究が行われています。
線維筋痛症の治療
線維筋痛症の治療には、薬物療法、リハビリテーション、注射療法の3つがあります。
薬物療法では、痛みを和らげるために様々な薬剤が用いられます。線維筋痛症の場合、中枢神経が関わることが多いため、この部分に対して作用する薬剤が用いられます。これらは通常の急性痛に用いられることが稀ですが、線維筋痛症の治療には欠かせません。
リハビリテーションでは、筋肉の柔軟性を高めるストレッチや、体幹部を支えるための筋力増強訓練を行います。これにより、痛みを軽減することができます。
線維筋痛症に有効な注射療法にトリガーポイント注射があります。線維筋痛症の患者さんには全身に多くのトリガーポイントが存在し、トリガーポイント注射をすることで局所の疼痛が軽減することがあります。
まとめ
線維筋痛症は、慢性痛や慢性疲労などの症状に悩まされる方が多く、社会生活に支障をきたすこともあります。症状には個人差があり、治療法も複数ありますが、正しい治療法を選択することで症状の改善が期待できます。また、ストレスや生活習慣の改善など、患者さん自身ができる対策もあります。早期発見・早期治療により、より良い生活を送ることができます。