星状神経節ブロックは、慢性的な痛みから解放されるための治療法です。では、具体的にはどういった治療なのでしょうか。
1. 星状神経節ブロックとは？
星状神経節ブロックは、交感神経の働きを一時的にブロックし、慢性的な痛みを緩和するための治療です。交感神経の緊張が痛みの原因になることもあるため、この治療法が効果的であるとされます。
星状神経節は、交感神経の根元にあります。交感神経は自律神経の一種で、元々は外敵から身を守るために筋肉を緊張させ血圧を上昇させる働きを持ちます。しかし、慢性疼痛があると、その部位の交感神経が緊張してさらに痛みを増強させてしまうという悪循環が生じます。
しかし、この星状神経節ブロックを行うことで、交感神経がブロックされ、血流が再開することで支配領域の痛みを緩和することができます。
2. 星状神経節ブロックの方法
この治療は首に行われ、輪状軟骨の近くの星状神経節への注射で行います。
- 位置決め: ベッドで仰向けになり、首を伸ばす。
- 消毒と針の挿入: 医師が頸部を消毒し、超音波検査機器で確認しながら目的の神経節に針を刺入。
- 安静時間: 30分程度、ベッドで安静にする。
3. 星状神経節ブロックの合併症
治療後には以下のような軽微な合併症が発生することがあります。
- 軽い出血
- 皮下出血、あざ
- 血圧低下
- 消毒薬に対するアレルギー
- 腕神経叢ブロック
- 横隔神経ブロック
- Hornel徴候
また、重篤な合併症としては以下のようなものがあります。
- 局所麻酔中毒
- 頸部膿瘍
- 頸部血腫
当院では、患者様の安全を最優先に考え、重篤な合併症の早期発見に努めております。
まとめ
星状神経節ブロックは、慢性痛の治療に効果的な方法を提供します。
当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせた個別の治療プランを提案しています。ご自宅に帰られて何か異常を感じた際には、どうぞ当院までご連絡をお願いいたします。
星状神経節ブロックQ&A
Q：星状神経節ブロックを打った瞬間から痛みがなくなるの？
A：星状神経節ブロックは痛みを伝える神経をブロックする訳ではないので、他の種類のブロックとは違って打った瞬間から痛みが取れる訳ではありません。交感神経をブロックすることで、痛みを生じにくい環境づくりをするというイメージです。例えば、長く継続した痛みで腕が冷たく血が巡らなくなっているような方に、星状神経節ブロックを行うと血流が再開し筋肉の緊張が軽減して痛みが生じにくくなったりします。他の薬物療法や、ブロック療法で痛みが軽減しない方に、当院では星状神経節ブロックをオススメしています。
Q：血液サラサラの薬を飲んでるけど、星状神経節ブロックはできる？
A：申し訳ありませんが、抗血小板薬、抗凝固薬を服用されている方へは、頸部血腫予防目的に星状神経節ブロックの提供は致しかねます。
Q：顔面紅潮（ホットフラッシュ）、肩こり、花粉症、突発性難聴には星状神経節ブロックは使えますか？
A：上記疾患に対して健康保険を使用した星状神経節ブロックの提供は致しかねます。しかし、上記疾患に対する星状神経節の効果は各種研究により確認されております。とくに顔面紅潮に対する星状神経節ブロックの効果は学術的にもよく研究*されており、インターベンショナル痛み治療ガイドラインにも記載されています。上記疾患に対しては、自費診療においてご提供しております。自由診療の場合、星状神経節ブロック代4,400円と初診料3,300円もしくは再診料1,100円がかかります（いずれも税込）。予めご了承下さい。
*：Lipov et al. Lancet Oncol. 2008; 9; 523-532.
