帯状疱疹とは、体の左右どちらかに水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に出る病気です。

多くは腕や胸、背中に症状が出ますが、まれに顔面や首などに現れることもあります。

通常3〜4週間続く症状には、強い痛みが伴うことが多く、痛みや外見の変化によって、日常生活が制限されることがあります。

帯状疱疹が治った後でも、チリチリ、チクチクするような痛みが残ることがあります。これを帯状疱疹後神経痛(PHN)といい、長期間にわたり症状が継続することがあります。約2割の患者さんが帯状疱疹後神経痛に移行すると言われています

帯状疱疹の原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。初めて感染したときは水ぼうそうとして発症します。

治った後もウイルスは長い間体内に潜んでおり、普段は自己免疫力により活動が抑えられています。

加齢やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが暴れ出して皮膚に到達し、帯状疱疹を発症します。

日本の成人の9割以上が(国立感染症研究所 2015. )すでにこのウイルスに感染した事があり、体内にウイルスを持っています。そのため、ほとんどの人が帯状疱疹になる可能性があります。

【ほとんどの人が帯状疱疹になる可能性がある】のであれば

・どのような人が帯状疱疹になりやすいのか?(リスク)
・事前にできることは何か?(予防方法)

ぜひ、これらを理解して症状が出ないように備えてください。

*:Takao Y, et al. J Epidemiol. 2015;25(10):617-25.

帯状疱疹になるリスク

帯状疱疹は、50代から急激に発症率が高くなり、患者の約7割が50歳以上です80歳までに、約3人に1人が帯状疱疹になると言われています**

帯状疱疹は、体の免疫力が低下したときに発症します。免疫力の低下は、加齢やストレスなど誰にでも起こりえることで、誰でも帯状疱疹になるリスクがあると言えます。

*:外山. 日臨皮会誌. 2012;29(6):799-804.
**:国立感染症研究所感染症疫学センター. IASR. 2013;34(10):298-300.

帯状疱疹の予防方法

帯状疱疹を予防するためには、50歳以上の方に対して帯状疱疹ワクチン接種が推奨され、当院では自費診療で接種する事が可能です。

また、日頃からの体調管理を心がけ、免疫力を低下させないことも大切です。

帯状疱疹の予防方法
・食事や睡眠をきちんととる
・疲れたら休息する
・適度な運動を心がける

健康維持の基本的な部分ではありますが、ぜひ意識してください。

帯状疱疹Q&A

Q:帯状疱疹は、他の人にうつりますか?

A:周囲の人にうつることはありません。しかし、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない人には感染する可能性があり、その場合は水ぼうそうを発症します。

Q:帯状疱疹に2回かかることはありますか?

A:帯状疱疹になると、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する強い免疫がつきますが、かかった人のうち数%は再発すると言われています。

Q:水ぼうそうにかかった事があるかどうかわからないのですが、帯状疱疹になる可能性は?

A:帯状疱疹になる可能性はあります。水ぼうそうの症状が出ていなくてもウイルスが体内に入り込み、潜んでいる場合があります。日本の成人では、9割以上がこのウイルスを体内に持っていると言われています。したがって、ほとんどの人は帯状疱疹になる可能性があります。

Q:帯状疱疹にかかったら、どんな治療をするのですか?

A:ウイルスを退治する抗ウイルス薬や、痛みを抑える鎮痛薬などを使います。抗ウイルス薬による治療は、できるだけ早く開始することが大切ですので、痛みを伴う発疹を見つけたら早めに受診してください。

Q:予防接種について詳しく知りたいのですが。

A:帯状疱疹予防には、2種類のワクチンが利用可能です。一つは従来から用いられている、子どもの水ぼうそう(水痘)予防に用いられている弱毒生水痘ワクチンを使用しています。もう一つは新型のワクチンで、従来型と比較して有効性が高いものになっています。どちらも50歳以上の方を対象として接種します。

​※予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。

Q:2種類のワクチンの違いを教えてください。

A:2つのワクチンの主な違いは、接種回数、有効性、持続期間です。以下にまとめた表をご確認ください。

ワクチン表

まとめ

帯状疱疹は、痛みや外見の変化によって、日常生活が制限されることがあります。50歳以上の方であれば、ワクチン接種を受けることで予防ができます。また、日頃からの体調管理が大切です。早期の治療と予防に努め、健康な生活を送ることが大切です。