みなさんこんにちは、院長の藤田です。

 

本日は、当院のペインクリニック診療の柱である神経ブロックについてお話したいと思います。

 

神経ブロックは局所麻酔薬を使って、痛みの伝わりを抑えて痛みをとる治療です。


まず、痛みの伝わり方は以下のようになっています。

1)物理刺激が身体に加わる
2)皮膚・筋肉・骨などに分布した神経の端っこ(自由終末端)が物理刺激を感じる
3)神経細胞が電気的に興奮して痛みの情報を電気信号に変換し、神経を伝わる
4)脊髄(背中を走る神経の束)まで来た電気信号が、今度は脳に向けて脊髄を駆け上がる
5)脳で電気信号を受け取り、痛みとして認知する

神経ブロックは、主に3)に作用する治療です。

 

神経細胞の電気的な興奮(生理学の用語で脱分極といいます)には細胞内へのナトリウムの流入が関わっています。ナトリウムの出入り口(ナトリウムチャネル)を局所麻酔薬(ナトリウムチャネルブロッカー)が塞いでしまうことで、興奮を生じなくさせているのです。

 

神経ブロック成功の秘訣はまさにここにかかっています。

1)正しい位置に局所麻酔薬を注入する(神経から離れすぎても近すぎても問題)
2)正しい薬剤を注入する(局所麻酔薬にはたくさんの種類があり、効果も様々)
3)正しい量を注入する(多過ぎれば中毒を生じます)

 

特に1)正しい位置はとても重要ですので、当院では解剖学的位置をきちんと把握することはもちろん超音波機器を併用しながらブロックを行うことで安全性を確保しています。

 

次回は、神経ブロックの親戚である『硬膜外ブロック』についてお話します。