みなさんこんにちは、帝都メディカルクリニック院長の藤田です。
今回は久しぶりの投稿となります。
私自身、家では豆を挽いて淹れるほどの大のコーヒー好きです。今回はコーヒーの健康効果について近年注目されてきているので、記事にしていきます。
コーヒーと痛みについて
コーヒーの健康効果
コーヒーを1日5−6杯飲むと、脳血管障害が減少するという報告があり、近年はコーヒー飲用による健康効果が注目を集めています。
コーヒーの生理作用を起こすのは「カフェイン」であると考えられており、特にその血管に対する作用が健康への関与があると考えられています。
カフェインというと、子供や妊婦には有害であると考えられていますが、血管に対してはどうやら有益に働くようです。
特に頭痛にはカフェインは大変有用であることが知られています。頭痛のメカニズムは不明な点も多いですが、脳内でセロトニンが過剰に分泌されると血管が一時的に収縮したのち拡張することで痛みが生じると考えられています。カフェインは血管を収縮させることで、頭痛の原因自体を除去し症状を緩和させる働きがあると考えられています
コーヒーと痛み
上述した通り、頭痛との関連性は古くから知られていますが、その他の痛みについてはコーヒー(カフェイン)には効果があるのでしょうか。
コクランレビュー*(数多くのランダム化比較試験をまとめた質の高いレビュー論文)によれば、成人患者の急性疼痛に対するカフェインの鎮痛補助効果について調べられています。
本文では、カフェインがこれらの鎮痛薬の鎮痛作用を促進するかどうかが検討されています。
2014年8月までの試験を検索し、頭痛、歯科処置後の疼痛、出産後の術後疼痛、月経痛などの疼痛を検討した20件の試験(参加者7238名)を検討しています。
コーヒー1杯に相当する量のカフェインを、パラセタモールやイブプロフェンなどの一般的な鎮痛薬の標準用量に添加した結果、疼痛緩和が促進されることが分かったとのことです。
鎮痛薬とカフェインを併用した場合、鎮痛薬単独の場合と比較して、良好なレベルで疼痛緩和が得られた人数が5%から10%へ増加しました(高いエビデンス)。
試験では、鎮痛薬またはカフェインと関連した重篤な有害事象は報告されませんでした(低いエビデンス)。
つまり、鎮痛薬にカフェインを添加しても推奨用量を超えない場合は害を及ぼす可能性はほとんどないと考えられます。
*:Derry CJ, Derry S, Moore RA. Caffeine as an analgesic adjuvant for acute pain in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Dec 11;(12)
記事まとめ
コーヒー(カフェイン)は、頭痛だけではなく急性疼痛を緩和するのにも役立つ可能性を秘めています。しかし、鎮痛補助薬として使用した研究の結果ですので、コーヒー単独での鎮痛効果については議論があります。また、カフェイン過量投与による健康被害もあるため、鎮痛目的にカフェインを乱用することは避けるべきであると思います。